July 29, 2005
ヴェラ・ドレイク
なんともやりきれない思いが残る映画でした。
舞台は1950年代のロンドン。
主人公はあまり裕福ではないものの、幸せそうな家庭の主婦。
明るく善良な彼女が、家族にも内緒でひそかに行っていた人助け。
それは望まない妊娠を無かった事にしてあげること─。
当時、法律で禁止されていた中絶ですが抜け道はあるもので、条件が整えば合法的に手術を行う事が出来たようです。
ところが、その為にはやはりお金が必要なんですね…。
結局、貧しく生活に余裕のない女性達は危険なのでは?と思いつつも、非合法の中絶に頼らざるを得ないんです。
そんな助けを求める人々に手を差し伸べてやらずにはいられなかった主人公の姿を観ていると、ただ悪いことをしたから、危険な目にあわせたから、命を奪ったから、と責める言葉を浴びせる事はとても出来ません…。
映画の中では深く語られる事はありませんでしたが、彼女が危険な堕胎法で「人助け」を始めたのは、戦時中にあった、言葉に出来ない暗い出来事がきっかけのようです。
しかし純粋に女性達を助けているとしか思っていなかった彼女が突き落とされた現実は、あまりにも辛い。
友人に裏切られ、裁判にかけられ─。
それだけの事をしたのだから仕方がない、そう言ってしまえばそれまでですが、とてもそう簡単には割り切れない現実を映画はつきつけてきます。
結婚指輪を外すように命じられた彼女の目から流れ落ちる涙には、どれほどの思いが詰まっていることか。
あのシーンは忘れられません。
中絶という問題を通して、社会の矛盾や家族の絆についても問いかけている映画だと思います。
「赦し」という言葉が重く深く、胸に響きました。
ヴェラ・ドレイク
http://www.veradrake.net/
銀座テアトルシネマで上映中です。
投稿者 melissa : July 29, 2005 09:59 AM
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